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ていれとつくろい、終了しました。
ブログは記録として残しています。

#8 万年筆のなにもない跡


万年筆を買ってまだ数日しか経っていなかったころ、夜布団に入って電気を消してしてからメモしたいことが思い浮かんだことがあった。電気を付けずに枕元にあった紙に万年筆でメモした。

翌朝、紙にはなにも書かれていなかった。まだ使い方も身に付けておらず手にも馴染んでもいない万年筆で暗い中、字を書くことはできなかったようだ。本当に線一つなかったことにちょっとびっくりした。もしかしたら書いたのは夢かもしれないと思うほどだ。

万年筆で使い始めて最初の鮮烈な思い出である。その後、早く馴染んで欲しいなと思い、よく使うようになった。最初のうちは角度により書けない線があったが、だんだん書けるようになる。しばらくは書けてもざらざらした感じや引っかかる感じか残るがそれもなくなりするすると書けるようになる。ペンを走らせやすい方向があるなとかそういうことに時々気づく。そういうことを繰り返しながらすっかり馴染んで、今ならもう夜の暗闇の中でも書けると思う。
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